自分で原稿が進まない時は舞城王太郎を読みます。『ピコーン!』はぼくの大好きな短編ですが、これがびっくりするくらいぼくがいま書きたいことと同じことを書いています。それは決して自分が王太郎にリンクしているのではなくて、きっと無意識の内に王太郎の主張の殆どを継いでしまっているのだろうと思います。ぼくは記憶力が非常に悪いので一番好きな作家の作品でさえ厳密なテーゼを覚えてはいないのですが、それでも無意識には知ってしまっているらしい。ぼくが無意識の働きに関してこうも過剰に寛容なのは、自分がそうだからなのかなと思います。
 『ピコーン!』は誰にでもおすすめというわけではないけど、いつ読んでも本当に素晴らしい短編です。