北町は放課後も学ぶ
中学生の時に筒井康隆のビアンカ・オーバースタディというライトノベルがメフィストに載るということで発売が楽しみだなぁという記事を書いてからもう早いもので5年ほど経ったらしく、まさか大学生になってからようやく全篇読めるとは思いも寄りませんでした。御代のあとがきによると太田氏が悪いようです。太田め〜
- 作者: 筒井康隆,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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200ページもないような中篇で1000円もするのはどうかと思いますが、装飾は中々だしいとうのいぢさんの絵は想像以上に想像以上だったこともあって、まぁ買っても良いんじゃないかなという気がします。とかわざわざ書かなくともこうやって取り上げるものは大体が「買い」のものなんですが…
特に格式ばる気もないのであとは適当に思ったことを残して終わります
1、ビアンカの妹がかわいい。こういう髪型は良い。あと、目次の絵と最終話の描き下ろしの絵とを見比べるとわかりやすいけど、いとうのいぢってここにきて随分絵が上手くなってる様子
2、作品によって文体がガラリどころかグンワリって感じで変わる御代ですが毎回セリフだけは癖があって、その点は今回「ラノベ」を書くに至っても変わっていないのがなんとなく良いなぁって感じっつーかー
3、ここでぐだぐだいっても仕方ないんですけど、最終章の自然エネルギーのくだり、やはりというかなんというか天然ガスエネルギーについては述べていなくて、少しげんなりしました。LNGが一番有効だと思うんですが… あと火力でも夏場最高位までの電力は賄えてはいることと、…地球温暖化っていう死語についてはもういいかな… 原発事故が完全に防げるようになったっていうifについても… 結構つっこみどころ多し。けどこのままいくと滅亡するという点には異論無し。さもありなん、という気すらしないでもないですけどね。この作品における未来人みたいに 有終の美?
4、自分から使っておいた単語でなんだけど、「文章力」って最近よく耳にする気がする。というよりも勝手に意識して耳に入れてしまっている気がする。それもこの間自分の文章力のなさを自覚してからな気がする。文章力という言い方をするならば筒井康隆は間違いなくある。実にすばらしいレベルである。巨匠を引き合いに出すのはもはや「恐れ多い」って言っちゃうのもなんか違う気がするんだけど、それにしてもこれくらい魅力のある文が書ければと思うと同時に、考え無しに言う文章力という言葉の無意味についても思わされる。小手先を使った、魅力はないけどまとまっている文章を綴る力、簡略にいってしまえば論文向きな文章力と、小説分野に向いた文章力との履き違えが世間では散見されて、それにおれ自身が掻き乱されているという感がある。その度に、この領域において大事なのは魅力なんだ、と自身に言い聞かせなければおれは簡単に見失うんじゃないかという気がしてこうしてそれについて書いたりもしているわけである。…