日記27

『めも? かも』

 『フォラメン』という短編の陰惨な結末を招いたものの本質は、男女についてのテーマが暗澹としているからだけではない。生命の無機質への代替を念頭においた上で世紀末と排他性を目の前に持ってきて絡める技法で進める文章力がまず一端を担っているが、この短編は女性への愛よりも純粋に性欲のみで接することのできる無機質を選ぶことが悲しいというだけの枠組みではなく、たとえばいわゆる救いのない話としてただ終わらせたくないのなら、主人公が良識を持って最後に生身の「人間」(「女性」ではなく)を救い出した上で別途に限りなく完璧に近い無機質を選択すればよかっただけのことで(無論話としてのテンポ・収まりは考慮に入れないで事実として)、後味を悪くしたのは無機質的・世紀末的世界の中で正常だとミスリードされていた主人公にまで人間としての良識が失われていたからこそ(=羞恥心が欠如しているという描写からして女性の消失と共に世界から人間性が消えたことをインプライ)、こうして悲しい世界として物語を閉じることができているのである。つまりこの小説はテーマを「男女」としてだけではなく「人間」ないしは「生命」として閉鎖的に描いたからこその「救いのなさ」で終結しているのである。
 この謎の解説は杉井光という作家のサイトにある短編集を読んで、適当に感想を読み歩いていたらちょっと割合的に「読んでいて悲しくなる」感想が多かったので何となく書いてみたもの。作者が提示したテーマを乗り越えて「こうしたほうがいいんじゃない?」って言う人間はその脳みそ正常に働いていないなら売っちまえとさえ思います。
 杉井光という作家には、違う人間に立て続けにおすすめされたので、なにか流れのようなものを感じています。あいぽんでサイトにある短編とかは大方読んだんですが、落ち着いたら商業も見ようと思ってます。まあ、数少ないラノベとの邂逅だ。大事にせねば。
 といいつつ実は今は同時進行で小説を読んでいる最中で、ここにラノベを混ぜると少し面白いことになりそうです。小説を半ば勉強として捉えたときに、同時進行という行為は少々奇異な働きをします。特に影響されやすいおれがほぼ同時に影響され終わった瞬間というのはトライアングル悪魔合体どころではない大幅な変化を見せます。ステップを踏まず急に。誰が楽しいというより単純におれが楽しいです。ちなみにどうしてラノベが混ざって面白いことになるかというと、今は戦後純文学・現代文学・詩・戯曲で同時進行しているから。そこに現代娯楽が混ざると、だって、なあ。狂うよ多分。歯車
 しかし乙一っぽい短編ばかりだったなあ。乙一の方が落ち方が愕然としているんだが、こちらは多少ソフトな分好みのわかれるところだろうか。衝撃手的な生死のかかわらない域なら山田詠美と大差ない

『べんきょう』

 自習室でだけするわけにはいかないことがいよいよ発覚しました。暗記は体全体で行えという教訓の中、人目を気にせず動き回るわけにはいかないし、たとえそうまではしないにしても、声に出すことすらままならないというのはどうも困ります。ただ家の中では勉強しない(したくない)感覚なんだよな、ずっと。ここ最近は。家の中だとしないです。中々ね。どうもね
 暗記という行為に気合を入れて一年以上になりますけど、危惧していた「おれに暗記なんて無理なのでは?」という不安はとりあえずは失せました。おれとよく会話する人間ならばわかると思いますが、おれという人間の「咄嗟の記憶力」の無さは異常です。偏差値にすればおそらく30台です。平常時に海馬が全く働いていないんです。話したことも話されてたことも忘れます。小学生の頃からそうだった(らしい)ので、おそらく持って生まれた性質なんでしょうが… これが実に困りものです。本当に記憶したいときは集中すれば問題ないのですが、なにせ集中力ありませんからね。なんとなく授業を聞いている〜 くらいじゃ時間をただ浪費するだけだ。
 毎日毎日「覚えるぞー」と意気込むのは大変な話です

『からだ』

 今朝体重を計ったら、2月の時点より12キロ減っていました。当然見た目に変化なしです。身長も。こうなるといよいよ自分の体が怖いです。たぶんまた半年後くらいには10キロ前後増えていると思います。高校にあがってからずっとそうで、毎年毎年合計20キロ分くらい体重が変動しています。
 よく人の魂は20グラムの重さと言われますが、おれは生命力があるときは10キロ分くらいの生命力が入ってきている…とか捉えるのは前向きな方々的にどうですかね。それでもまだちょっと怖いですか? うーん。やっぱり怖い。ごまかせない

『せみなー』

 なんだかんだで一年以上前から英語を教わっているとある予備校教師の無駄なセミナーに先日は行ってきました。180分延々とメモしていたらB4の紙が30枚近く飛びました。話のうち4割くらいは既に聞いたことのある内容だったので、その合間とかは耳への意識はそこそこにして、急いで自分の考えたことを付け足していたり。走り書きが酷くてただでさえ読めないのに主語とかなさすぎていよいよ日本語といえど意味がわからないレベル。読み返したら別の意味で面白い。本当に大事だと思うことは別に書き直すとして、それ以外のことはあの言葉がリアルであったときに直接おれの血肉になることへ期待をこめて、これ以上は記憶を探らないことにしようと思います。
 最後の無駄セミナーということで生で出席できてよかった。あとは本当の意味で無駄になることを楽しみに待つばかりです

『お・と・こ』

 今日なんとなく読んだサンデーでいいんちょさんが見られて嬉しかったという話。ハヤテっていう漫画の没落っぷりには正直目が当てられないレベルなんですが、どこまで落ちようといいんちょさんの正義領域(俺の中でとうとう四字熟語になりました)級のかわいさはぶれないと思います。しかも一切の御託なしのかわいさですからね。驚異的ですよ
 今のおれに記号化というか図式化というかキャラを斜に構えて捉えて実験的に「かわいい」と言わせるのではなく単純にかわいいと思わせる存在というのはマジで稀有ですね。8割以上思い出の中に生きている子だからこそだとは思いますが。ヒロインっていうかアイドル? 二次元の? 中二とかそこらの時期にドハマりしたキャラってのは根強いですよ ルイズ以上
 しかし思うんだが異性としてかわいいキャラではなく娘のような存在としてかわいいキャラっていうのがその域に届きやすい気がする。なんとなく。対象があまりにも少なすぎるから推測の域を抜けないけど
 そういえばみなみけの内田とかも同じベクトルでかわいいと思いますね。よくわからんけどああいうのが好きなのかなあ。おれは。アホかわいいというか、墓穴掘りかわいいみたいな。受難かわいい、っていうのが一番しっくりくるか。新ジャンル『じゅなカワ』。まさに謎
 どっちにしろ自分の手じゃ作れないキャラだわな