猫物語(白)。

 読んだ。非常に良いところと普通に悪いところがあった。非常に良いところは、シーンでいえばブラック羽川が羽川の中に戻ってくるシーンと、鳥肌立つくらいベタだけどドララ木さんが助けに来るシーン。やっぱりラノベはヒーローがいないとな。ジュララ木さんはほんとかっこいいです。物語でいえば、当然羽川翼というキャラクターを完結させたこと。非常に綺麗でした。よくぞ道理を通した。中々作りこんでる。感心した。単純に。うぬ。ガハラさんもそうだったけど、悪い性質であることが同時に個性となっていたものを一緒にゴミ箱に捨てて成長させることは感傷に浸れること。まぁ、どっちかといえば前の方が好きでしたというのもご愛嬌。表現のことを言えば、群像劇が使われたこと。これは単に俺は群像劇が大の大の大好物であるということに他なりません。これは今更な話だから流す。んで逆に悪いところは、ちょっとメタ要素が増えすぎたこと。地の文でのネタもそうだし、章変えの演出のところもそうだし、何よりメタキャラが現れやがった。趣味100パーセントと明記してあることを前提に出版している小説だからだまされたとかの文句は一切ないんだが、西尾の私小説と化している、というのはまさに事実だと思う。西尾は年齢と略歴以外は何も晒さない作家だし、当然最近顕著なクリエイターがついったーをやる現象に流されるなんてことはありえないし(インスピレーションの元手を知られるのはめちゃくちゃ恥ずかしいから、ほかのあらゆる作家もあまり○○読みました感動しましたとか言わないほうがいいと思うんだが)、自分は○○についてこう思うというようなことを化物語のキャラクターに言わせているのは、というより言わせたくなるのは当然なんだが、そこに物語の神である作者の存在を意識させるないしはメタにまで発展させたのは賛否が分かれる。俺としてはそこまではやってほしくなかった。戯言の最後がそうなったみたいに、世界がひとつの物語であることを意識させることで話を昇華させようとするのは西尾の癖というか、悪く言えば限界なのかもしれない。それでいて猫物語白は「漫画やアニメのキャラクターじゃあるまいし」の発言が妙に目立って、それはひょっとしてギャグで言っているのかと。つっこみ待ちだろコレ。
 あとは少し思ったこと。とりあえず、ガハラさんが変わったとはいえ、そこまで変わっていなくて安心した。というより、そもそも1話が早速ガハラさんの治療の話だったから、実を言うとそこまでツンケンしたガハラさんって書かれてないんだけどな。泣きながら相手の身を案じるとかはさすがにびっくりしたけど、でも今のガハラさんでも監禁くらいは普通にしそうな感じもしなくもなくもない。やっぱり阿良々木さんと絡んでもらわないとよくわからないか。あとは、監禁といえば、あのときのガハラさんはどうしてあんなに羽川を怖がっていたのか。それにはあまりピンとこない。
 傾物語は同時進行のB面らしいからこっちはこっちで楽しみ。ほんと群像劇は最高です。いまから読むぞー

猫物語 (白) (講談社BOX)

猫物語 (白) (講談社BOX)